膵臓の腫瘍

【概要】

犬や猫の膵臓に発生する腫瘍は非常に稀ですが、多くの場合、悪性であることが知られて
います。そのため、早期発見と治療が非常に重要です。早い段階で適切な治療を行えば、
良好な経過をたどる可能性があります。
しかし、膵臓は体内の奥深くに位置するため、通常の生活の中で異常に気づくことは難し
く、症状が出る頃には進行しているケースが多いです。そのため定期的な健康診断(血液
検査・エコー検査)が最も有効な早期発見の方法となります。

 

【診断】

膵臓腫瘍の診断は非常に難しく、初期段階ではエコー検査や血液検査で腫瘍の存在を疑い
ます。その後、確定診断のために試験開腹や CT 検査などの麻酔下での精密検査が必要に
なることが多いです。
「インスリノーマ」と呼ばれる腫瘍の場合、低血糖症状が特徴的であり、血液検査によっ
て診断の手がかりを得られることもあります。しかし、それ以外の膵臓腫瘍では診断が非
常に困難であり、発見が遅れがちです。

 

【治療】

膵臓腫瘍の治療は主に手術が基本となります。早期に発見できれば、手術の傷も小さく、
合併症のリスクも低いため、より良い治療結果が期待できます。
腫瘍の種類によっては、手術に加えて抗がん剤治療を併用することもありますが、多くの
場合、外科手術が第一選択となります。

 

【当院の取り組み】

当院では、特殊なケースを除き、ほとんどの膵臓腫瘍の手術に対応可能です。
膵臓腫瘍は診断が難しく、発見時には進行しているケースも多いため、すぐに手術を実施
するのではなく、まずは負担の少ない検査から丁寧に行い、その後、動物や飼い主様に合
わせた診療計画を提案します。
例えば、腫瘍が小さく合併症のリスクが低い場合は手術を検討し、積極的な治療を行いま
す。一方で、すでに進行している場合や合併症のリスクが高いケースでは、手術以外の治
療法も含め、動物の状態に最適なプランを提案します。

 

【通院、入院の予測】

・ 初期診断(エコー・血液検査)では基本的に入院は不要です。
・精密検査(試験開腹・CT 検査など)を行う場合、1~5 日程度の入院が必要になる
ことがあります。
・手術を行わない場合、定期的な経過観察のために月に 1~2 回の通院が必要になる
ことがあります。
・手術を行う場合、通常 1~2 週間程度の入院が必要となります。
・術後の経過観察のため、1~2 週間ごとの通院が必要となるのが一般的です。
個々の症例によって異なるため、詳細は担当獣医師と相談してください。

 

【 費用の予測】

• 初期診断(エコー・血液検査):約 20,000 円
• 麻酔を使用した精密検査(CT・試験開腹など):30,000~70,000 円程度
• 手術(試験開腹や腫瘍摘出):100,000~300,000 円程度
手術の費用には大きな幅があります。これは、動物の状態や腫瘍の大きさ、手術後の経過
によって異なるためです。ただし、手術前にある程度の概算を提示することは可能ですの
で、詳細は担当獣医師とご相談ください。