肝臓の腫瘍

【概要】
犬や猫の肝臓にできる腫瘍は、約 80%の確率で悪性のがんであると言われています。ほと
んどの場合、初期には症状がなく、発見が遅れがちです。そのため、早期発見と治療が非
常に重要であり、早期の治療によって良い結果が得られるケースも多くあります。
肝臓の腫瘍は普段の生活で確認しにくいため、定期的な血液検査やエコー検査などの健康
診断が早期発見の最も有効な手段となります。症状としては、お腹が張る、元気や食欲が
なくなるなどがありますが、これらが現れるのは腫瘍が大きくなり、病気が進行してから
であることが多いため、定期検診が重要となります。

【診断】
多くの場合、エコー検査によって診断します。前述の通り、症状が現れたときには進行し
ていることが多いため、早期発見のためには定期的な検査が必要です。
初期診断として、エコー検査に加え、血液検査やレントゲン検査を実施します。さらに詳
細な評価が必要な場合には、麻酔をかけて CT 検査や、腫瘍の細胞を採取し顕微鏡で詳し
く調べる病理検査を行います。

【治療】
肝臓腫瘍の治療は、主に手術によって行われます。腫瘍の種類によっては、抗がん剤治療
を行うケースもあります。
手術は、腫瘍が小さい早期の段階で行うほど、動物への負担が少なく、治療経過も良好と
なります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
4. 当院の取り組み
当院では、一部の肝臓腫瘍を除き、ほとんどの手術に対応可能です。
ただし、肝臓の腫瘍は悪性であっても進行が遅いケースもあるため、すぐに手術や麻酔を
かけた精密検査を行うのではなく、まずは負担の少ない検査から実施し、動物や飼い主様
に合わせた診療計画を提案します。
例えば、15 歳と高齢で進行が遅い場合には、無理に手術を行わずに定期検診を実施しなが
ら経過観察をする方針を取ることもあります。一方で、比較的若く体力のある動物で、手
術が可能なケースでは、早期に治療へ進む診療計画を立てます。
このように、当院では年齢や性格、病状に応じて最適な診療プランを一緒に考えていきま
す。

【通院・入院の予測】
初期検査(エコー検査、血液検査、レントゲン検査)では、基本的に入院は必要ありませ
ん。
手術を行う場合、通常 5~10 日程度の入院が必要となります。
術後は経過観察のために 1~2 週間ごとの通院が必要となることが一般的です。個々の状況
により異なりますので、詳しくは担当獣医師とご相談ください。
6. 費用の予測
・ 診 察 と エ コ ー 検 査 の み の 場 合 :10,000 円 程 度
・手術を検討する場合の精密検査(レントゲン、血液検査を含む):20,000~30,000 円程

・手術費用:150,000~350,000 円程度
手術費用には幅がありますが、これは動物の状態や腫瘍の大きさなどによって手術内容や
術後の管理が異なるためです。ただし、手術前に概算をお伝えすることは可能ですので、
詳細な費用については担当獣医師とよくご相談ください。