猫の甲状腺機能亢進症
【概要】
甲状腺機能亢進症は、何らかの原因により甲状腺からホルモンが過剰に分泌される疾患であり、中高齢の猫で多く見られる病気です。原因としては、加齢に伴う甲状腺組織の過形成や甲状腺の腫瘍などが関与していると考えられています。症状としては、甲状腺ホルモンの過剰による体重減少や食欲低下、嘔吐、高血圧などが見られることがあります。
【診断】
年齢や症状に加えて、血液検査やホルモン検査などで総合的に判断します。本疾患が疑われる場合は血液検査にて甲状腺ホルモンを測定し、ホルモンの数値が基準値よりも高い場合は確定診断となります。また高齢の猫で体重減少や嘔吐が見られる場合は、他にも様々な病気の可能性が考えられますので、他の病気が隠れていないかを調べるためには、レントゲン検査や超音波検査、血圧測定などが必要なケースもあります。
【治療】
治療は基本的には抗甲状腺薬の飲み薬で行います。一日1~2回投与していただき、2週間~1カ月後に再度血液検査やホルモン検査を行い薬の量を調整します。また血圧が高い場合は降圧剤を一緒に内服していただくこともあります。薬による副作用が出てしまう場合や、稀ではありますが甲状腺の腫瘍が疑われる場合には手術により甲状腺を摘出することもあり、また甲状腺ホルモンの合成に必要なヨウ素を制限した食事治療を行うこともあります。
【当院での取り組み】
甲状腺機能亢進症は8歳以上の高齢の猫で多く認められる病気であり、またその症状も食欲不振や嘔吐、体重減少など多岐にわたり、他の疾患との鑑別が非常に重要になりますので、高齢の猫でそのような症状が見られる場合は積極的にホルモン検査を実施することを勧めております。また気付かないうちに体重が減っていることもあり、健康診断で偶発的に見つかるケースもありますので、8歳以上の子では1年に一回の定期健診を推奨しております。
【通院・入院の予測】
基本的には通院で治療可能です。治療開始直後は2週間~1カ月に一回の頻度で通院いただき、血液検査やホルモン検査、血圧測定を行います。その後安定してきたら、内服薬を継続いただき3~6カ月に一回の頻度で定期健診を行います。
【費用の予測】
診断までの費用は2~3万円程度です。診断後の定期的な血液検査は一回あたり5000円~1万円で、内服薬を処方する場合も一カ月5000円~1万円程度になります。なお、この費用は猫ちゃんの状態や体重により異なる可能性があります。この病気は治療期間が長期にわたることが一般的です。そのため、治療に伴う費用や投薬が猫ちゃんや飼い主様にとって負担にならないよう、診察を行った担当獣医師としっかりと相談しながら進めていきます。