猫のリンパ腫
【概要】
猫のリンパ腫は、体内のリンパ組織ががんになる病気です。リンパ組織は体内に広く分布
しているため、症状は発生部位によって異なります。
猫のリンパ腫は主に以下の 4 つのタイプに分類されます。
• 消化器型(胃腸が腫れる)
• 腎臓型(腎臓に発生)
• 鼻腔型(鼻の中、顔に発生)
• 縦隔型(胸の中のリンパが腫れる)
症状としては、元気や食欲の低下がよく見られます。ただし、身体検査ではほとんど発見
できないため、レントゲンやエコー検査が必要となります。異常を感じた場合は早めに動
物病院を受診することが重要です。
【診断】
血液検査、レントゲン、エコー検査を行い、体内のリンパの腫れを確認します。
最終的な診断には細胞診という検査を行います。これは、腫れているリンパ節の細胞を針
で採取し、顕微鏡で観察することで確定診断を行うものです。
猫のリンパ腫は特徴的な症状が少なく、同じような病気が多いため、正確な診断のために
は細胞診が不可欠です。
【治療】
猫のリンパ腫の治療では、**多剤併用療法(複数の抗がん剤を組み合わせた治療)**が主
に行われます。ただし、リンパ腫の種類によっては手術が有効な場合もあり、手術と抗が
ん剤を併用するケースもあります。
抗がん剤の種類や治療方針は、動物の状態やリンパ腫のタイプによって異なります。その
ため、獣医師と飼い主様が相談しながら最適な治療プランを決定していくことが重要です。
【当院の取り組み】
当院では、リンパ腫の治療において、抗がん剤のみの治療、手術を併用する治療など、複
数の選択肢を検討しながら、飼い主様と共に最適な治療方法を決定します。
治療方針を決定する際には、以下を相談しながら決定します。
• 抗がん剤の効果と副作用
• 通院の頻度
• 費用
• 猫ちゃんの性格やストレス
これらを飼い主様と十分に話し合いながら、最も適した治療計画を立てていきます。
【通院・入院の予測】
診断のための検査ではほとんど入院は不要ですが、
麻酔を伴う検査の場合、1~2 日程度の短期入院が必要になることがあります。
抗がん剤治療は、週に 1 回程度の通院で行うことが可能です。 ただし、副作用が強く出る
場合はその都度通院が必要になります。まれに副作用が強く、入院が必要になるケースも
ありますが、その発生頻度は約 1%と低いです。
【費用の予測】
診断にかかる費用:3~5 万円程度
抗がん剤治療の費用は、選択する治療法によって異なります。
治療法 費用(月額) 治療期間
最小限の抗がん剤使用 2~3 万円 約半年間
最大限の抗がん剤使用 初月 10~15 万円、以降 5~7 万円 約半年間
治療費総額の目安:40~50 万円程度(約半年間の治療)
• 抗がん剤 1 回あたりの費用は 2~3 万円。
• 15~20 回に分けて投与を行います。
治療費は動物の体重や状態によって異なるため、詳細については診療時に担当獣医師とご
相談ください。