犬の皮膚炎 アレルギー アトピー
【概要】
犬のアトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎は細かな違いはありますが、
ほぼ同じ症状が見られ、そして治療法も似ています。
具体的な症状としては、広範囲の皮膚かゆみや皮膚炎が現れ特に1週間以上改善しない場合は、
アトピー・アレルギー性皮膚炎が考えられます。
かゆみや皮膚炎が長引くと皮膚にダメージが残り、治りにくくなる可能性があるため、
2週間以上かゆみの症状が続く場合は、獣医師を受診することがおすすめです。
原因として食べ物が関与することもありますが、食べ物だけが原因である確率は約10%程度であり、
食事の変更が治療として有効な場合は少ないです。
そのため、かゆみの症状が続く場合は、早めに獣医師に相談することが良いでしょう。
【診断】
かゆみや皮膚炎の発生部位を身体検査し、皮膚検査を通して初回の診断を行います。
原因となるアレルギー物質を特定するため、血液検査も検討されることがあります。
ただし、これは高額な検査のため、初回の診断から行うことは稀です。
【治療】
アトピー・アレルギー性皮膚炎の主な治療は、薬を飲ませることです。
代表的な薬としてはステロイドがあります。
ステロイドは副作用が知られていますが使用方法を守れば治療効果が高く、効果的な薬とされています。
ただし、副作用により使用が制限される場合もあります。
最近では新しい薬としてオクラシチニブ(アポキル)があります。
これはステロイドの代表的な副作用である多食多飲が見られないとされていますが、
若干高価で作用時間が短いという欠点もあります。
その他にも、塗り薬やシャンプー、食事治療も同時に行われることが一般的です。
各薬物には特性があり、動物の状態や薬の特性、費用、副作用などを検討して治療方針を決定します。
【当院における取り組み】
当院では、患者ごとに最適な治療方法を提供しています。
治療には飲み薬だけでなく、塗り薬、シャンプー、食事の組み合わせが含まれています。
これらを調整し、それぞれの状態に合わせて個別に治療プランを組んでいます。
この病気は治療期間が長期にわたることが一般的です。
そのため、治療に伴う費用や投薬が患者や飼い主様にとって負担にならないよう、
しっかりと相談しながら進めていきます。
【通院・入院の予測)
ほとんどの場合通院治療により治療を進めていきます。
症状が極めて深刻であり自宅での薬の管理が難しい場合などは、
稀に入院が必要になりますが、多くの場合には通院治療で治療を行います。
【費用の予測】
診断までの費用は約2000円から7000円程度です。
特殊なアレルギーの原因を探るための血液検査を行う場合には、3万円から4万円かかります。
この検査は通常初回ではなく、治療反応が悪い場合などに検討されることがあります。
治療費は使用する薬、治療プランにより異なりますが、
一般的な選択であるステロイドまたはアトピー・アレルギー性皮膚炎治療薬を使用する場合、
月に5000円から15000円程度がかかります。
治療は通常長期間にわたりますので費用や薬の管理の手間などを考慮して、
治療方針を検討することが重要です。
なお、この費用は小型犬の場合の予測であり、動物の状態により異なる可能性があります。
費用に関しては、診療された獣医師と詳しくご相談ください。